四十九日間のキセキ
「待て、それはもう少し待ってからにしたらどうだ?」

「もう十分待ちました。お父さんはどうしてこんなに落ち着いていられるんですか。それに今日もお義母さんがいないようですがもしかして紗弥加がいなくなったことと何か関係あるんですか?」

「そういうわけじゃない。たまたまいないだけだよ」

「でしたらお義父さんたちも本当に紗弥加の居場所を知らないんですね。では今から警察に行って捜索願を出してきます」

この言葉にいよいよまずいと思った孝之は本当のことを言うしかなくなった。

それでも紗弥加の病のことは隠すことにした孝之。

「分かった。本当のことを言うから捜索願だけはよしてくれ」

「やっぱり知っていたんですね、紗弥加はどこにいるんです」

「居場所は言えないが紗弥加はもう君とは別れたいそうだ。でも決して君のことが嫌いになって別れたわけではない。それだけは信じてくれ」

嫌いになったわけでもないのに別れるということがどういうことか、それが分からない拓海。
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