四十九日間のキセキ
【第七章】『紗弥加の希望』
手術前の薬物療法も終わりいよいよ手術を行うこととなった。

そしてこの日は手術に向けての説明が行われていた。

「奥山さん、手術ですがやはり左乳房を全摘しなければいけないようです」

「どうしてもですか?」

「そうですね、温存するとなると厳しいかと思います」

「それでもいいです、できる限り温存してください」

「でもそれでは命の保証は出来ませんよ」

「構いません、だってあたしまだ二十六ですよ、大事な胸を失いたくありません」

ところが紗弥加のそんな願いに反対の意見を述べる香織。

「そんなのこと言わないで全摘にして」

「どうしてそんなこと言うの、お母さんはあたしの胸が無くなってもいいの?」

「そんな事ないわよ、できることなら残してあげたいわ。でも何よりも命でしょ、たとえ全摘しても再生手術をすればいいじゃない」

「でもそんなことをしたら余計お金かかっちゃうのよ」

それでも笑顔で応える香織。

「いいじゃないかかったって、あなたの命には代えられないわ」

そこへ孝之も紗弥加を説得する。

「そうだぞ紗弥加、命あってこそなんだ。頼むから全摘に応じてくれ」

こうして両親の説得に応じる形で紗弥加は全摘を選択することとなった。

「分かったわ。先生全摘でお願いします」

「分かりました。では全摘ということですね、お任せください」

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