四十九日間のキセキ
次に孝之が心配そうに尋ねる。

「傷口の様子はどうだ、痛くないか?」

「まだ疼くけど我慢できないレベルじゃないかな」

「そうか、それなら少しはましなのかな? あと少ししたらまた抗がん剤が始まるんだろ?」

「そうね、あちこちに散らばった小さながん細胞を退治するんだって」

「そうかがんばれよ」

「うんありがとう」

ここで再び香織が声をかけてきた。

「それはそうと紗弥加、今度望月君が来てくれた時にでもよくお礼を言っておきなさい、彼手術の日も駆けつけてくれて終わるまでずっと付いていてくれたんだから」

その事実に驚き感謝の念でいっぱいの紗弥加。

「そうなの? なんだかずいぶん心配かけちゃったなぁ、じゃあ今度来てくれたらあたしからもお礼を言っておくね」

「そうしなさい」

 さらに数日後、この日は隼人が見舞いにやってきた。

「具合はどうだ紗弥加、元気にしているか?」

「来てくれたの隼人、ありがとう。あたしは元気よ」

「そうかそれならよかった」

すると紗弥加は突然改まって声をかけた。
< 38 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop