四十九日間のキセキ
「それより紗弥加」

「なに隼人?」

「お前の病気治るんだよな?」

「さあどうかな? 今のところどうなるか分からないわ。先生は全力を尽くすとは言ってくれたけどはっきりと治ると言ってくれたわけではないもの」

「そうなんだな。でも大丈夫だよお前なら、必ず病気に打ち勝つって」

「ありがとうそう言ってくれて。あたしこんな病気に絶対負けないから見ていて」

「あたしたちそろそろ帰ろうか」

葵が言うと、その言葉に隼人も返事をする。

「そうだな、あまり長居をして紗弥加が疲れてもいけないからぼちぼち帰るか」

「もう帰るの? まだ来たばかりじゃないもう少しいてよ」

紗弥加の頼みであったがそれに断りの言葉を放つ隼人。

「何言っているんだ。紗弥加は久しぶりに葵と再会して時間が短く感じたかもしれないがもう結構な時間話しているぞ! あまり長くいても体に障るだろ?」

「分かったわよ、じゃあまた来てくれるの待っているね」

「分かった、また近いうちに来てやるからおとなしく病人しているんだぞ!」

「なによそれ」

言いながらクスッと笑みをこぼす紗弥加。続けて葵も紗弥加に声をかける。

「じゃあね紗弥加。また来るから」

こうして二人は病室を後にした。

二人が帰って行った後の病室はまた静で寂しい空間へと装いを変えてしまった。
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