四十九日間のキセキ
「そうなの? 心配かけてごめんね、あたし大丈夫だから。必ず病気に勝ってみせるから心配しないで」

「それは頼もしいな? じゃあ紗弥加が元気に退院するの待っているからな」

朝陽の励ましの声に精いっぱいの笑顔で応える紗弥加。

「朝陽は今何しているの?」

「俺か? 俺は今地元の企業で働いているんだ。きょうは土曜日で休みだからこうして見舞いに来ることができたんだよ」

「そうだったんだ、ありがとう来てくれて」

「良いよ別に礼なんて、逆に今まで来られなかったのが申し訳ないくらいだ」

「別に申し訳ないなんて思わなくていいのに、あたしは朝陽がこうして来てくれただけで嬉しいんだから」

しかしこの日は紗弥加の体調が悪そうに思えたため、少し早めに帰ることにした隼人。

「じゃあ今日はもう帰るわ。お大事にな」

隼人が言うと、紗弥加はがっかりした表情を浮かべながらも引き留めようとする。

「待ってよもう帰っちゃうの? もう少しいてよ」

紗弥加の残念がる声に返事をする隼人。
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