四十九日間のキセキ
【第十一章】『新たな副作用』
三週間ほど経過した頃、この頃になるとそれまでの副作用である吐き気や嘔吐のほかに脱毛の症状も現れ始めた。

 そんな時だった、再び朝陽が葵とともにやってきたのは。

「紗弥加久しぶり。どう具合は?」

葵が言いながら病室へと入ってくると、同時に朝陽も入ってきた。

「紗弥加元気にしていたか?」

ところが朝陽の声を聞いて慌ててしまう紗弥加。

「えっ朝陽ちょっと待って」

その声は間に合わず朝陽は病室の中に入ってしまった。

 何故紗弥加が朝陽に中に入るのをやめるよう言ったのかこの後すぐに判明する二人。

「そういう事だったのか、ごめんな俺全然知らなくて」

朝陽が言うとぎこちない笑顔を浮かべ応える紗弥加。

「頭こんなになっちゃった」

言いながら坊主になった頭を見せる紗弥加。

「そういう事だったのね。ごめんね知らなくて」

葵が言うとそれに続く様に謝罪する朝陽。

「ごめん悪かったな紗弥加。そんな風になっていたなんて知らなくて」

「いいわ別に、こっちから言わないとこんなの知りようがないもの」

「それってもしかして抗がん剤の影響?」 

心配そうに尋ねる葵に静かな声で応える紗弥加。
< 60 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop