四十九日間のキセキ
「いいじゃない教えてよ」

「どうする朝陽?」

困った葵が朝陽に尋ねると、恥ずかしそうな表情を浮かべ応える朝陽。

「なんか照れるけど紗弥加ならいいんじゃねえか? 葵話してやったらいいよ」

「えぇっあたしから言うの? 恥ずかしいなぁ」

「いいじゃない、教えておしえて」

はしゃぐ紗弥加に恥ずかしいながらも口を開く葵。

「紗弥加もさっき言っていたようにあたしと朝陽は高校時代はただの友達だったのよ。高校を卒業した後紗弥加は東京の大学に行って朝陽は地元の大学に入ったわよね」

「そうね、あたしと隼人は東京の大学に行って、あたしはそのまま向こうで就職したけど隼人は今旅館の手伝いって言っていたから卒業後には帰ってきたのかな?」

「あたしは大学にはいかずに地元の会社に就職したんだけど、ある日同級生から地元に住んでいる同級生だけで同窓会をしようって連絡が来たの」

何となくピンときた紗弥加。

「それで朝陽と再会したの?」

「そうなの。それまではあたしたちも疎遠だったんだけど同窓会をきっかけに二人で会うようになって、そのうちに付き合うようになっていたわ」

「それで今に至るって事?」

「簡単に言うとそうかな」

「そうなんだぁ、お子さんはいるの?」

その声にぎこちない笑顔で応える葵。
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