四十九日間のキセキ
「ただいま」

「おかえりかあさん。今日は遅かったな?」

「ちょっと帰りがけに先生からお話が合ってね」

「そうだったんだ。先生なんだって?」

「今の第四クールが終わったら一度退院しますかって」

「良かったじゃないか」

「それがよくないのよ」

「どうして、退院出来るんだろ?」

「良くなっての退院ならね」

「どういうことだそれ」

孝之は一体どういうことなのかと首を傾げつつ尋ねる。

「先生が言うには抗がん剤があまり効いてないらしいの、もちろんほかの薬も試してみるけど、動ける今のうちに一度退院させてあげようって事らしいのよ」

「そういう事だったのか」

がっくりと肩を落とす孝之。

 そして数日後の午後、主治医の坂本医師が紗弥加のもとにやってきた。

「奥村さん」

「はい何ですか先生?」

「もうすぐ第四クールが終わります。抗がん剤のおかげでだいぶ良くなったし検査結果も良好になってきました。これが終わったら一度退院してみるかい?」

「良いんですか?」

瞳を輝かせながら尋ねる紗弥加。
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