四十九日間のキセキ
「やだもうこんな時間じゃない。お父さんもう帰らないと」

「そうだな?」

こうして両親が病室を後にすると、一気に寂しさが込み上げた紗弥加。

二日後の木曜日、この日は葵が見舞いにやってきた。

「こんにちは紗弥加、様子はどう?」

「いらっしゃい葵。今日も来てくれてありがとう」

笑顔を浮かべ向かえる紗弥加。

この時葵は紗弥加のかぶっているニット帽に気付いた。

「なにそれ可愛いニット帽だね。どうしたのそれ」

その問いかけに嬉しそうに応える紗弥加。

「いいでしょこれ、この前隼人がプレゼントしてくれたの。朝陽にあたしの副作用の事を聞いたんだって」

「そうなの、良かったじゃない」

続けて紗弥加は嬉しい報告をする。

「そうだ聞いてよ葵」

この言葉があまりにも嬉しそうだったため、悪い事ではないなと確信した葵。

「どうしたの、何か嬉しい事でもあった?」

「ねえ聞いて!」

「だから聞いているってば」

「そうだったね。あたし退院できることになったの」

嬉しさのあまりはしゃぐように告げた紗弥加に対し、葵は自分の事のように喜んでくれた。
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