四十九日間のキセキ
「おかえりなさい朝陽」

「ただいま」

「紗弥加のことで話があるの。いい知らせよ」

「何だ良い知らせって」

「今日紗弥加のところにお見舞いに行くって言っていたでしょ」

「そうだな」

「それで行ってきたんだけどね、紗弥加の一時退院が決まったんだって」

「そうかそりゃよかった。それで期間はどのくらいなんだ?」

「一週間だって」

「たったそれだけか。でもたとえ一時(いっとき)でも病院を出られるならましかな?」

「そうだね。でもまだ正式に決まったわけじゃないんだって」

その言葉に朝陽はわずかに表情を強ばらせる。

「どういうことだそれ」

「来週の月曜日が退院の予定なんだけど、それまでに体調を崩したりしたら退院の話は無しになってしまうんだって」

「そうか。そうならないといいんだけどな?」

「とにかくご飯を食べてからでも隼人に知らせてあげて」

「そうだな。そうするよ」

 その後夕飯を食べ終えた朝陽は一息つくと隼人の携帯に電話をかけた。

「もしもし隼人か?」

『朝陽かどうした?』

「嬉しい知らせだ」

その言葉に思わず隼人は声を弾ませる。
< 77 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop