四十九日間のキセキ
『何だ嬉しい知らせって、もしかして紗弥加の事か?』

「そうだ。今度一時退院ができるそうだ」

『ほんとかそれ?』

この時朝陽は、電話の向こうの隼人の笑顔が見えるようであった。

「だけど期間は来週の月曜日から一週間だけだそうだ」

『それでもいいじゃないか。たった一週間でもあの寂しい空間から出られるんだろ?』

「そうだけどまだ正式に決まったわけではないらしい」

『どういうことだよそれ』

一体どういうことなのかと疑問の表情を浮かべる隼人。

「もし来週の月曜日までに体調が悪くなったりしたら退院出来なくなってしまうらしいんだ」

朝陽の放った言葉により隼人は幾分不安になってしまった。

『そうなのか? でも大丈夫だよなきっと』

「大丈夫に決まっているだろ、きっと退院できるって」

『そうだよな?』

 翌日の金曜日、早速隼人は紗弥加のもとに向かった。

「紗弥加元気か?」

「なによ元気かって、元気じゃないからここにいるんじゃない」

「そうだったな、それより聞いたぞ退院の事、良かったじゃないか」

「聞いたのね、ありがとう。でも正式決定じゃないんだけどね」

「それも聞いた。でも大丈夫だよ紗弥加なら無事退院できるって」

「何を根拠に言っているのよ」

「別に根拠なんてないけど何となくな」

隼人が柔らかな笑みを浮かべ言うと、同様に笑顔を浮かべながら応える紗弥加。
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