四十九日間のキセキ
「いいじゃないあなたのことが心配なのよ、そこまで心配してもらえるなんてあたし羨ましいわ」

葵の言葉に柔らかな物腰で反論する紗弥加。

「何言っているのよ、このくらい当然じゃないの? あたしじゃなくてもこんな病気になってしまったら心配しない親なんていないと思うけどな、葵の両親だってそうでしょ?」

「確かにそうかもね」

明るい笑みを浮かべながら言う葵。

「それより朝陽は来られなくてごめんね、今日は平日だから仕事でどうしても来られなくて」

「仕方ないよそれは、気にすることないわ」

そう言い葵を気遣う紗弥加。 そこへ母親の香織が紗弥加の部屋にお茶を運んできた。

「二人とも今日はありがとね、お茶持ってきたから飲んで」

そう言いながらジュースを運んでくると、そんな香織に隼人が礼を言う。

「ありがとうございますおばさん。どうぞお気遣いなく」

「ゆっくりしてってね」

この言葉に応えたのは葵であった。

「はい。お気遣いありがとうございます」

その後も三十分ほど三人で会話を続け、その後二人は奥村家を後にした。
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