四十九日間のキセキ
「点滴終わったね」

その声に自分の目でも点滴を確認すると、やはり点滴はすべて終わっていた。

「ほんとだ。教えてくれてありがとう葵」

葵に対し礼を言うとそれとともにナースコールを押す紗弥加。

ボタンを押すとすぐに返事が聞こえた。

『はいどうしました？』

「点滴終わりました」

『分かりました。すぐ行きますね』

ナースセンターの看護師から返事が来ると紗弥加に対し朝陽が声をかける。

「じゃあ俺たち今日は帰るよ」

「どうして？　まだ来たばかりじゃないもう少しいてよ」

「看護師さん来るんだろ？　邪魔になってもいけないからさ」

「そんな事ないよ。大丈夫だからもう少しいて」

「でも帰るよ。いつまでも俺たちの相手をしていても疲れるだろ」

「そう分かった。また来てくれるの待っているからね」

残念がる紗弥加。

　その日の夜香織が自宅に帰ると、それに気づいた孝之が声をかけてきた。

「ただいま」

「おかえりかあさん。どうだった紗弥加の様子は」

「大丈夫、いつも通りよ」

「そうか。望月君たちは今でも来てくれているのか？」

「何度も来てくれているわ」

そんなことを聞いた孝之は隼人たちが娘のために何度も見舞いに来てくれていると聞いて感謝の念でいっぱいであった。
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