四十九日間のキセキ
「望月君なんて紗弥加からテレビカードを買わなきゃいけないからテレビを見るのを控えているって聞いてテレビカードを買ってきてくれたのよ」

「望月君て前にも薬の副作用で髪の抜けてしまった紗弥加のためにニット帽を買ってくれた人だろ?」

「そうよ、紗弥加のためにありがたいわ、ほんと感謝しないと」

「そうだな?」

「それだけじゃないのよ。朝陽君たちもそのあとテレビカードを買ってきてくれたんですって」

「そうか。あの子もいい友達をもって幸せだな?」

「ほんとそう思うわ。あの子たちにはほんと感謝しないと」

「ところで朝陽君たちってどういうことだ、 他にも買ってきてくれた人がいるのか?」 

疑問の表情で尋ねる孝之に対し、香織が笑顔で応える。

「そうじゃないの、朝陽君ともう一人は葵ちゃんなのよ。前に言わなかったっけ? 二人は結婚しているの」

「そうなのか? 初耳だぞ」

「そうだったっけ? まあとにかく紗弥加にとってはこっちの病院に移ったことで交流が復活して良かったのかな?」

「そうかもしれないわね」

「とにかく明日は俺も行ってみるよ。俺も久しぶりに紗弥加に会いたいしな」

「そう? じゃあ一緒に行く?」

「また今回も別々に行こう。俺は午後からにでも行って帰りは先に帰るから」

「わかったわ、ではそうしましょう」
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