四十九日間のキセキ
まさかの言葉に葵は肩を落としがっかりしてしまった。

「そうだったんですか」

するとここで二人は香織の口からまさかの事実を聞くことになる。

「実はこの前の一時退院も良くなったから退院できたわけじゃないのよ」

「どういうことですかそれ」

驚きとともにどういうことかと首をひねる葵。

「ほんとは抗がん剤の効き目があまりよくなくて、動けるうちに一度退院させてあげましょうって先生の計らいで、それで退院できただけなのよ」

「それってこの後紗弥加は動けなくなるほど悪化するって事ですか？」

「必ずしもそういうわけでもなさそうなんだけどね」

「どういうことですかそれ」

「今後の治療結果次第でそうなるかもしれないから今のうちにって事らしい」

「そうだったんですか」

それを聞いた葵の瞳からは自然と涙があふれていた。

思わぬ事実を聞いた隼人が香織に尋ねる。

「あのっ一つ聞いていいですか？」

「なに望月君」

「紗弥加の具合がそんなに悪いのでしたら僕たちは見舞いに来るのを控えたほうがいいのでしょうか？」

「そんな事ないわ、今まで通りお見舞いに来てあげて。あの子あなたたちがお見舞いに来てくれるの楽しみにしているんだから」

「分かりました、そうします」

「紗弥加そろそろ起きたかしら、行ってみましょうか？」

香織の言葉に隼人が返事をすると、それに葵も続く。
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