四十九日間のキセキ
【第十七章】『クリスマスツリー』
翌週の月曜日、担当看護師の佐々木が紗弥加のもとにやってきた。

「おはよう奥村さん、今日から新しいお薬になりますね」

佐々木の突然の言葉に少し不安になってしまう紗弥加。

「薬が変わるってどういうことですか? 今までの薬は効いていなかったって事?」

「ごめんなさいね、別にそういう訳じゃないのよ。前にもあったでしょ、これは予定されていたことなの」

「でもどうしてわざわざ買える必要あるんですか?」

「これは奥村さんに限ったことではなくがん患者さん皆さんに言えることなんだけど、ずっと同じ抗がん剤を使っているとがん細胞が耐性を持ってしまって効かなくなってしまうの、だから定期的にこうやって薬を変えていくのよ」

「そういうことなんですね。分かりました」

三日後再び隼人と葵、そしてこの日は有給休暇を取得した朝陽が見舞いにやってきた。

「こんにちは紗弥加」

「葵いらっしゃい。朝陽と隼人も来てくれてありがとう」

「良いのよ別に」

葵が言うと、その葵と隼人に対し一言謝罪する。

「それより葵と隼人もこの前はごめんね、あたしが寝ている時に来てくれたんだってね」

「あぁあの時ね、別に気にしてないわ、いいのよ別に」

葵が言うと、葵に代わり隼人が声をかけてきた。
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