四十九日間のキセキ
「それより紗弥加、俺たちの前では無理しなくていいんだぞ！」

「どういうこと？」

紗弥加が疑問の表情で尋ねると、更に続ける隼人。

「おばさんに聞いたんだ、お前が本当は辛いのに俺たちの前では無理をしているって」

「そう、お母さんそんなこと言ったんだ。でもあたしお母さんの前でもなるべく明るくするようにしていたんだけどな？」

その疑問に葵が応える。

「おばさん気付いていたみたいよ」

「そうだったんだ」

「だからもうあたしたちの前では無理しなくていいんだよ」

「そうだぞ。俺たちの前で無理をするなんて水くさいじゃないか」

葵に続き朝陽も言うと、紗弥加がそれに応える。

「分かったわ、なるべくそうするね」

そうは言うものの、それでもその後も無理をしてしまう紗弥加。

するとこの時紗弥加はある事実に気が付いた。

「ところで朝陽今日仕事は？　ずっと入院していて曜日の感覚分からないけど、確か今日は木曜日じゃないの？」

紗弥加の問いかけに朝陽が応える。

「今日は有給取ったから心配するな」

有休を取ってまで見舞いに来てくれた朝陽に対し紗弥加は驚きとともに申し訳なさを感じた。
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