四十九日間のキセキ
「そうなの？　そこまでしてお見舞いに来てくれなくてもいいのに」

「良いんだよ、もともと有給がたまっていて会社からも有休を取るように言われていたんだ。だから心配するな」

「そうなの？　それならいいけど。でもほんとみんなありがとね来てくれて」

「良いんだってそんな事」

隼人が言うと続けて紗弥加に尋ねる。

「ところで抗がん剤の副作用辛くないか？」　

尋ねる隼人であったが、この後隼人たちは紗弥加から思わぬ事実を聞くことになる。

「今のところ大丈夫かな？　そういえば抗がん剤も今週の月曜日から別のものに変わったの」

その言葉に驚いた葵は一体なぜなのかと紗弥加に尋ねる。

「どういう事よそれ。まさか前の薬が効いていなかったわけじゃないよね？」

「そういう訳じゃないらしいの。これは前から予定されていたことなんだって。前にもあって今回の薬が三つ目なの」

「そうなんだ。じゃあ心配しなくていいんだね」

「そうみたい」

「それならひとまず安心ね」

葵が安心の声を上げるとそこへ朝陽が声をかける。
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