四十九日間のキセキ
「ちょっと下まで降りてみようか、もうすぐクリスマスだろ? クリスマスの飾り付けがきれいなんだ。看護師さんにも許可を取ってあるから」

「ほんと? 行くいく」

「じゃあ行こう。起きられるか?」

そう言いながら孝之はベッドから起きる紗弥加を介添えし車いすに座るのを手伝う。

その後無事紗弥加が車いすに座ったのを確認した孝之はゆっくりと車椅子を動かした。

その後ろを紗弥加を病室から連れ出すことに乗り気でない香織が不安そうな表情を浮かべながらも続く。

エレベーターに乗り一階に下りた三人がロビーまで行くと大きなツリーに様々な飾り付けがしてあり、長い病院生活で落ち込んでいた紗弥加の気分がわずかながら晴れやかなものになった気がした。

「どうだきれいだろ? さすがに街のイルミネーションとまではいかないけどこれはこれでいいだろ」

「うんすごくきれい、お父さん連れてきてくれてありがとう」

 ところが幸せな時間はそう長くは続かなかった。
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