ゆとり社長を教育せよ。
噛みつくように言ってみたけど、プツッと音を立てて、電話は呆気なく切れた。
……もういいわ。これで充への嫌がらせも終わるだろうし、変な電話もかかってこないはず。
私はため息をついて、ベッドにスマホを放り投げた。
今度こそアイス食べようっと。
そう思って冷凍庫からカップを取り出し、キッチンからスプーンを取り出しているときにふと棚の上のカレンダーに目が留まった。
「明日、誕生日じゃん……」
その前日に恋人と別れるって、切ないなー。
去年はどうやって過ごしたんだっけ? ……たしか合コン?
きっと秘書課の誰かを誘えば乗ってくれるけど、今年はそんな気分じゃない。
だいたい、合コンで出会う男にはロクなのがいないし。……千影さんとかね。
久々に思い出してしまった彼の顔を振り切るように首を横に振ると、私はテレビを点けて床に座り、ふたを開けたアイスにスプーンを入れた。