ゆとり社長を教育せよ。


「じゃあ、その……とりあえず、コーヒー入れてもらってもいいですか?」

「かしこまりました」


私は、社長室の隅にあるコーヒーメーカーに歩み寄り、準備を始めながら社長の方を振り返る。


「ミルクとお砂糖はどうされます?」


本当は、先輩方に聞いて社長の好みは知ってたけど、私はあえてそう聞いてみた。

なぜなら……


「お砂糖三本。ミルクは二つ入れて」

「はい、かしこまりました」


はい、まっずそー。

……って、こうして突っ込みたかったから。


なんだかこうしてみると、私ってすごく性格悪いように見えるかもしれないけれど。

もともと歯に衣は着せない性格だったし、毎日秘書課で揉まれていると、どんな穏やかな子だってこうなってしまうと思う。


女だらけで、しかもみんな頭が良く、私以外はモデル並みにすらりと身長が高くて、言うまでもなく男の人にもモテて。

仕事もプライベートも充実しまくりの秘書課メンバーは、この世に怖いものなしって感じで、皆一様に強気な性格の持ち主なのだ。


< 3 / 165 >

この作品をシェア

pagetop