調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜導かれた力〜‡

力を感じる。

調導の力…覚醒へと向かう感覚。

不安はある。

このまま覚醒していく力を恐ろしいとも思う。
だが、必要があるように感じるのだ。
確かなものはない。
これは直感だ。




《声を聴け
遠き調べ
さすれば導きの光は灯る》




不安定だった物の声は、耳を、意識を傾けて聴こうとすれば、すんなりと入ってきた。
無意識に開いたページ。
その中央に書かれた文字が、視界に飛び込んでくる。
そこには、先ほどの声と同じ文が綴られていた。




『声を聴け
遠き調べ
さすれば導きの光は灯る』




懐かしい声と共に蘇ってくる記憶がある。




『みなと…二つの名前
…忘れてはいけないよ
聴こえてくるはず…長い眠りから目覚めた物の声が…』




幼い頃の記憶だ。

眠る寸前に、髮を優しくすきながら、父が夜ごと囁いていた言葉。
記憶を追っていた私の耳に届いた祖母の声が次の瞬間、急激に現実へと引き戻した。

「水薙ぎの刀…」
「おばあちゃん?」




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