調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜導かれ〜‡
難なく外へ裸足のまま駆け出ると、目の前には多くの人が並んでいた。
「捕まえろッ」
後ろから追ってきた当主を振り向きもせずに、ずかずかと集まる人々の隙間を縫って走りぬける。
「どけッ!!」
捕まえようと伸びる手をはねのけ、躊躇することなく体当たりで道を空けて走る。
外へ出るには、門を探さなくてはならない。
何とか人の群れを脱出したが、しつこく大勢で追いかけてくる。
年寄りが多い為か、振り切ることは容易かもしれないが…。
ようやく塀が見えた。
広い敷地だ。
門も一つと言うことはないだろう。
だが、追いかけてくる人を引き連れながら探すとなると、精神的に参ってしまう。
乱れた息を整える暇もなく、手近な物陰を探すことにした。
どうせ、門付近は今頃固められているだろう。
隠れて脱出の算段を立てなければ…。
それに、先程から感じるこの屋敷を包む気は異常だ。
負の気に満ち満ちて、息苦しささえ感じる。
《…なと……》
「っ…?!」
一瞬聞こえた声には聞き覚えがあるように感じた。
《みなと…》
はっきりと聞こえた声は、まぎれもなく亡き父のものだ。
ありえるはずがない。
けれど、無視することもできない。
「…くッ…」
意を決して声を辿る。
そこには、古ぼけた社のような建物があった。
《こっちだ はやく》
懐かしい声に誘われ、人が近くにいないことを確認すると、そっと中へ進入する。
奥へと進むと、祭壇のようなものに突き当たってしまった。
《みなと こっちだよ》
声は、祭壇の下辺りから響いてくる。
力を使って、仕掛けがないかを聴いてみる。
すると思った通り、碁盤の目のような物があり、そこに特定の石を、決められた順番
で置くように教えてくれた。
『カシッ』と言う音と共に、下に続く階段が現れた。
躊躇する事なく、薄暗い階段をゆっくりと降りていく。
なぜか地下なのに暗いとは感じない。
仄かな明かりが奥には満ちていた。
難なく外へ裸足のまま駆け出ると、目の前には多くの人が並んでいた。
「捕まえろッ」
後ろから追ってきた当主を振り向きもせずに、ずかずかと集まる人々の隙間を縫って走りぬける。
「どけッ!!」
捕まえようと伸びる手をはねのけ、躊躇することなく体当たりで道を空けて走る。
外へ出るには、門を探さなくてはならない。
何とか人の群れを脱出したが、しつこく大勢で追いかけてくる。
年寄りが多い為か、振り切ることは容易かもしれないが…。
ようやく塀が見えた。
広い敷地だ。
門も一つと言うことはないだろう。
だが、追いかけてくる人を引き連れながら探すとなると、精神的に参ってしまう。
乱れた息を整える暇もなく、手近な物陰を探すことにした。
どうせ、門付近は今頃固められているだろう。
隠れて脱出の算段を立てなければ…。
それに、先程から感じるこの屋敷を包む気は異常だ。
負の気に満ち満ちて、息苦しささえ感じる。
《…なと……》
「っ…?!」
一瞬聞こえた声には聞き覚えがあるように感じた。
《みなと…》
はっきりと聞こえた声は、まぎれもなく亡き父のものだ。
ありえるはずがない。
けれど、無視することもできない。
「…くッ…」
意を決して声を辿る。
そこには、古ぼけた社のような建物があった。
《こっちだ はやく》
懐かしい声に誘われ、人が近くにいないことを確認すると、そっと中へ進入する。
奥へと進むと、祭壇のようなものに突き当たってしまった。
《みなと こっちだよ》
声は、祭壇の下辺りから響いてくる。
力を使って、仕掛けがないかを聴いてみる。
すると思った通り、碁盤の目のような物があり、そこに特定の石を、決められた順番
で置くように教えてくれた。
『カシッ』と言う音と共に、下に続く階段が現れた。
躊躇する事なく、薄暗い階段をゆっくりと降りていく。
なぜか地下なのに暗いとは感じない。
仄かな明かりが奥には満ちていた。