調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜悲しみの再会〜‡
階段を降りきると、ひらけた空間が姿を見せる。
奥に進んでいくと、ひんやりと冷蔵庫の中のように冷たい空気が纏わり付いてきた。
予感はある。
そもそも、ずっと疑問だった。
父の遺体はどこにいったのだろうと…。
あの日、床に倒れた父の姿を見て、呆然としている間に部屋へと放り込まれてしまったのだ。
葬儀があった記憶は絶対にない。
だが、わざわざ一族が火葬をして供養してくれるはずがない。
一族の事が外に露見するような、外に遺棄するはずもない。
屋敷の中に大きな焼却炉がない以上、敷地内に埋葬されているとも考えられた。
けれど、一族を恨んでいるであろう父を、自分たちの足元の目に付く場所に埋葬するわけがない。
ならばどこに…。
たどり着いた氷室の中には、数人の遺体。
その中には、あの時の姿のままの父が横たわっていた。
蝋人形の様な姿は、薄気味悪いとも思うが、愛した父の顔を、おぼろげになっていた記憶のままの父を見て、そんな事どうでもよくなっていた。
「っ…とうさまっ…」
涙が伝う。
凍ってしまいそうになる熱い涙が、安らかに眠る父の頬へと流れ落ちる。
《泣くな…みなと…》
「っ…!」
《怯えなくていい もう時間がない…聴いてくれ》
漏れそうになる嗚咽をおさえ、最後になるであろう父の声を聴こうと目を瞑る。
《力が覚醒してしまったな…お前の力は強い
そして、とても優しい子に育ってくれた
今のお前になら、あれの声も届くだろう
覚えているかい?
秘密の名前を…
証となる名前だ…
導きのまま進め
お前には光りが見えるはずだ…。
そして、もう一つ…
鍵を渡さなければ…
愛しているよ美南都…見守っているから…》
「とうさまっ待ってッ逝かないでっ…」
階段を降りきると、ひらけた空間が姿を見せる。
奥に進んでいくと、ひんやりと冷蔵庫の中のように冷たい空気が纏わり付いてきた。
予感はある。
そもそも、ずっと疑問だった。
父の遺体はどこにいったのだろうと…。
あの日、床に倒れた父の姿を見て、呆然としている間に部屋へと放り込まれてしまったのだ。
葬儀があった記憶は絶対にない。
だが、わざわざ一族が火葬をして供養してくれるはずがない。
一族の事が外に露見するような、外に遺棄するはずもない。
屋敷の中に大きな焼却炉がない以上、敷地内に埋葬されているとも考えられた。
けれど、一族を恨んでいるであろう父を、自分たちの足元の目に付く場所に埋葬するわけがない。
ならばどこに…。
たどり着いた氷室の中には、数人の遺体。
その中には、あの時の姿のままの父が横たわっていた。
蝋人形の様な姿は、薄気味悪いとも思うが、愛した父の顔を、おぼろげになっていた記憶のままの父を見て、そんな事どうでもよくなっていた。
「っ…とうさまっ…」
涙が伝う。
凍ってしまいそうになる熱い涙が、安らかに眠る父の頬へと流れ落ちる。
《泣くな…みなと…》
「っ…!」
《怯えなくていい もう時間がない…聴いてくれ》
漏れそうになる嗚咽をおさえ、最後になるであろう父の声を聴こうと目を瞑る。
《力が覚醒してしまったな…お前の力は強い
そして、とても優しい子に育ってくれた
今のお前になら、あれの声も届くだろう
覚えているかい?
秘密の名前を…
証となる名前だ…
導きのまま進め
お前には光りが見えるはずだ…。
そして、もう一つ…
鍵を渡さなければ…
愛しているよ美南都…見守っているから…》
「とうさまっ待ってッ逝かないでっ…」