調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜二人の侵入者〜‡
外に出ると、捕らえようとする幾人かの人々が向かってくるのが見えた。
その間を縫うように走り抜け、構わず一直線に求められる声の導きのままひた走る。
「美南都っ」
「美南ちゃん」
突然聞こえたのは、会いたいと思っていた愛しい人の声。
そして、一族の事を良く知っていると言っていた人の声。
「秦っ!永久先生っ」
迷わず二人に駆け寄り、泣きそうになる自分に驚く。
ほとんど限界になっていたのだ。
強引に連れてこられたこの大きな屋敷で一人きり。
不安に思っても仕方がない。
「美南都っ…よかった…」
駆け寄った勢いのまま、秦が抱きとめる。
強く抱きしめられる。
そっと背に手を回して安堵する。
「秦…怪我は?」
「大丈夫だ。
少し歩き辛いが、他は浅い傷だから」
「よかった…」
胸に顔を埋め、失っていたかもしれない愛しい人の無事にすすり泣く。
もう失いたくない。
守りたい。
「美南ちゃんは、大丈夫なんか?」
「はい。
かすり傷一つありません」
「それは良かった。
秦くんが傷だらけのぼろぼろになって診療所に来てな。
美南ちゃんが連れ去られたと言うもんじゃから、焦ったぞ」
「ふふっ。
この通り無事です」
「うん。
そんで、美南ちゃんはどこへ行く気じゃったんじゃ?
門は反対じゃぞ」
「あっはい。
どうしても行かなくてはならない場所があるんです」
行くべき所を思い出し、少し焦る。
《…ぅ…ぉを!》
外に出ると、捕らえようとする幾人かの人々が向かってくるのが見えた。
その間を縫うように走り抜け、構わず一直線に求められる声の導きのままひた走る。
「美南都っ」
「美南ちゃん」
突然聞こえたのは、会いたいと思っていた愛しい人の声。
そして、一族の事を良く知っていると言っていた人の声。
「秦っ!永久先生っ」
迷わず二人に駆け寄り、泣きそうになる自分に驚く。
ほとんど限界になっていたのだ。
強引に連れてこられたこの大きな屋敷で一人きり。
不安に思っても仕方がない。
「美南都っ…よかった…」
駆け寄った勢いのまま、秦が抱きとめる。
強く抱きしめられる。
そっと背に手を回して安堵する。
「秦…怪我は?」
「大丈夫だ。
少し歩き辛いが、他は浅い傷だから」
「よかった…」
胸に顔を埋め、失っていたかもしれない愛しい人の無事にすすり泣く。
もう失いたくない。
守りたい。
「美南ちゃんは、大丈夫なんか?」
「はい。
かすり傷一つありません」
「それは良かった。
秦くんが傷だらけのぼろぼろになって診療所に来てな。
美南ちゃんが連れ去られたと言うもんじゃから、焦ったぞ」
「ふふっ。
この通り無事です」
「うん。
そんで、美南ちゃんはどこへ行く気じゃったんじゃ?
門は反対じゃぞ」
「あっはい。
どうしても行かなくてはならない場所があるんです」
行くべき所を思い出し、少し焦る。
《…ぅ…ぉを!》