調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜目覚めの名〜‡

「っ!!
来る…っ急がないと」
「何がじゃ?!」
「説明は後で!
とりあえずついて来てください」

近づいてくる。

血を求めて鳴いている。

とても禍々しい気。



《早く
もう少し》



鍵も感じている。
見えてきたのは小さな池。
揺らめいて、美しい調べ。
濁ることなく、澄み切った水。

「この中?」



《そう》



「この池に何が…?」



《沈めて
起こすから
鍵だから》



「眠っているの。
対になる存在…」

しゃがみこみ、片膝をつく。
強い熱を放ち出した鍵をゆっくりと水面へ沈める。



《…ぁ…ぅ…ぅ……ぉぉぉ》



美しい調べと共に、池が青白い光りに包まれる。
そして、湧き上がってくる感覚。
強い光り。
けれど、なぜか眩しいとは感じない。
溶け込むような光り。
やがて、収束していく光りは、細く透き通るような青い光りを宿した、細工の美しい刀の形をとった。

「これが水薙ぎの刀…」




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