調導師 ~眠りし龍の嘆き~
第八章 過去の威光
‡〜欲望〜‡
刀に見とれて瞬間、何が起こったのか分からなかった。
「やっと見つけた。
龍牙刀の力に対抗することができる刀!」
「先生!!」
永久先生は、水薙刀を握り締め、狂喜に満ちた表情を隠す事もなく声高に刀を天へと突き出す。
「これでやっと!!」
《をぉぉ…ぅぅぉ》
「っ!!」
来る。
強い狂気。
調刀の力によって封じられ、ついに解き放たれた力。
それを感じた時、何かが視界に広がった。
その場所にあることで、そこは聖域とさえ呼ばれる程、清い気に満ちていた。
奥深い森。
大きな洞窟。
奥には、空が見える円形に広がる。
草、木、花。
四季など知らないというように芽吹く植物。
その中央には、地に深く突き刺さった刀。
青い光りを放ち、美しい装飾が施されている。
森に住む小動物達は、それが刀である事を知る由もなく、無邪気に走り回る。
パキッ。
ズザッ。
「素晴らしい…」
それまでの楽園を踏み荒らすように、無粋な人間達が動物達を蹴散らす。
「託宣にあったのは、間違いなくこちらの刀です」
黒い布を被った者は、怯えるように告げた。
「うむ。
これほどの刀が、このような場所に放置されているとは…」
「いかがなさいますか?」
男に付き従う者の一人が、うかがうように問いかける。
「決まっている。
私にこそ相応しい。
これこそ王者の印となろう」
「はっ。
そのように」
とって来いと言うように従者の一人に顎をしゃくって見せる。
従者はおどおどと、刀のもとへと進み出た。
刀に見とれて瞬間、何が起こったのか分からなかった。
「やっと見つけた。
龍牙刀の力に対抗することができる刀!」
「先生!!」
永久先生は、水薙刀を握り締め、狂喜に満ちた表情を隠す事もなく声高に刀を天へと突き出す。
「これでやっと!!」
《をぉぉ…ぅぅぉ》
「っ!!」
来る。
強い狂気。
調刀の力によって封じられ、ついに解き放たれた力。
それを感じた時、何かが視界に広がった。
その場所にあることで、そこは聖域とさえ呼ばれる程、清い気に満ちていた。
奥深い森。
大きな洞窟。
奥には、空が見える円形に広がる。
草、木、花。
四季など知らないというように芽吹く植物。
その中央には、地に深く突き刺さった刀。
青い光りを放ち、美しい装飾が施されている。
森に住む小動物達は、それが刀である事を知る由もなく、無邪気に走り回る。
パキッ。
ズザッ。
「素晴らしい…」
それまでの楽園を踏み荒らすように、無粋な人間達が動物達を蹴散らす。
「託宣にあったのは、間違いなくこちらの刀です」
黒い布を被った者は、怯えるように告げた。
「うむ。
これほどの刀が、このような場所に放置されているとは…」
「いかがなさいますか?」
男に付き従う者の一人が、うかがうように問いかける。
「決まっている。
私にこそ相応しい。
これこそ王者の印となろう」
「はっ。
そのように」
とって来いと言うように従者の一人に顎をしゃくって見せる。
従者はおどおどと、刀のもとへと進み出た。