調導師 ~眠りし龍の嘆き~
第一章 目覚め
‡〜始まりの日〜‡

ピピピピッ。

ピピピピッ。

ピピピピピピ――。


「アーもうっ。
ウルサイっ」

バコッと、これでもかと騒ぐ耳障りな電子音を止め、顔を枕に埋めたままムクッと起き上がる。

「はぁ〜っ」

息を吐き出して、ようやく目覚めを迎える。

「よしっ」

気合いを入れてベッドから抜け出す。
制服に素早く着替えて洗面台へ。
まだ、家族が起きていないことを確認して、エプロンを着けて朝食の準備を整えていく。
お味噌汁が出来上がる頃、少し年老いた夫婦が仲良くリビングに顔を出した。

「おはよう。美南都ちゃん」
「おはよう。おばあちゃん」
「良い匂い〜」
「それは良かった。
味噌汁はもう、よそっていい?
おじいちゃん」
「頼む」
「オッケー。
おばあちゃんも座って」
「ありがと」

母の両親である祖父母に引き取られて約八年。
朝食を作るのにも慣れて、完全に習慣となっていた。
テーブルに朝食を並べて、自身も席に着く。

「いっただっきま〜っす」
「「いただきます」」

がつがつと豪快に食べる私を、幸せそうに見ながら、ゆっくりと食事をとる祖父母を視界の端に認め、私も幸せを感じる。
朝食が済めば、後片付けは任せて学校へ。
健全な生活リズムが身についてしまった。
今時珍しい女子高生である。

「今日も遅くなるから。
八時までには帰りま〜す」
「気をつけてね」
「「いってらっしゃい」」
「行ってまいりマ〜ス」



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