調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜誤解〜‡
「美南都…?
大丈夫か?」
祖父母と別れ、角を曲がると、秦がこちらを向いて立っていた。
どうやら、心配して待っていてくれたようだ。
「うん。
秦も、怪我は大丈夫?」
「ああ」
「…お父さんは?」
「…とうさんなら、暴れ出した人達を連れて隣りの部屋にいる」
「そう。
秦のお父さん。
優しい人ね」
葬儀の用意をする間、会えば声を掛けてくれた。
時々、秦の事も優しい目で見ている。
きっと、秦は気づいてはいない。
父親の一面だ。
「っ妻を殺すような奴なんだぞ?!」
「……?
聞いてないの?」
「?何を?」
心底不思議な顔で問いかける。
秦も、全く分からないようだ。
「秦の小刀、お父さんのだったから、教えてもらったの。
刀に宿っていた記憶を見せてくれた。
奥さんの事をすっごく愛してた。
殺してなんていないよ。
あの日、最期を看取りに来たの。
本当に悲しんでいたんだよ?」
「……っそんな…」
「秦の事も、すっごく愛してる。
好きな相手に嫌われて過ごすのはとても辛いと思う。
お父さんの心、悲しみで溢れてる」
「……」
「ふふっ。
これが終わったら、ゆっくりと向き合ってみたら?
お話してみるといい」
「……考えて…みる…」
「うん」
照れたように頷く。
素直じゃない。
長い間の冷徹な父の姿。
そう簡単には打ち解けられないかもしれない。
けれど、親子だから…。
きっと分かるはず。
「そうだ。
言おうと思ってた事があるの」
「美南都…?
大丈夫か?」
祖父母と別れ、角を曲がると、秦がこちらを向いて立っていた。
どうやら、心配して待っていてくれたようだ。
「うん。
秦も、怪我は大丈夫?」
「ああ」
「…お父さんは?」
「…とうさんなら、暴れ出した人達を連れて隣りの部屋にいる」
「そう。
秦のお父さん。
優しい人ね」
葬儀の用意をする間、会えば声を掛けてくれた。
時々、秦の事も優しい目で見ている。
きっと、秦は気づいてはいない。
父親の一面だ。
「っ妻を殺すような奴なんだぞ?!」
「……?
聞いてないの?」
「?何を?」
心底不思議な顔で問いかける。
秦も、全く分からないようだ。
「秦の小刀、お父さんのだったから、教えてもらったの。
刀に宿っていた記憶を見せてくれた。
奥さんの事をすっごく愛してた。
殺してなんていないよ。
あの日、最期を看取りに来たの。
本当に悲しんでいたんだよ?」
「……っそんな…」
「秦の事も、すっごく愛してる。
好きな相手に嫌われて過ごすのはとても辛いと思う。
お父さんの心、悲しみで溢れてる」
「……」
「ふふっ。
これが終わったら、ゆっくりと向き合ってみたら?
お話してみるといい」
「……考えて…みる…」
「うん」
照れたように頷く。
素直じゃない。
長い間の冷徹な父の姿。
そう簡単には打ち解けられないかもしれない。
けれど、親子だから…。
きっと分かるはず。
「そうだ。
言おうと思ってた事があるの」