調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜伝える想い〜‡
もう一度会えたら…。
もう一度生きられたら…。
絶対言おうと思っていた言葉。
「好きよ。
愛してるわ」
「っ……!!」
秦は、虚を突かれたように身体を揺らす。
顔を真っ赤にしてこちらを見る。
その顔がおかしくて、おもしろくて、また笑ってしまいそうになる。
「そういえば言ってなかったなって思って」
「っそっ……ありがとう…」
少し下を向く。
その姿が可愛くて…。
愛しくて…。
そっと手を伸ばし、顔を上げてこちらに向ける。
自然に零れた笑みを向けると、微笑みが返ってきた。
「じゃあ、また後でね」
「ああ」
軽く手を振って持ち場へと向かう。
悲しみで満ちていた心が、少し軽くなる。
全ての仕事を終えると、最期の別れの為の列に着いた。
家族達が別れを惜しみながら棺の蓋を閉じていく。
永久先生は、父の棺の横に座り込んでいる。
静かに涙を流しながら、悲しみを噛み締めている。
少し離れた場所には先生を見守る祖父母の姿があった。
そっと棺に近づく。
父の顔を覗き込んで膝をつく。
「とうさま……」
父の死に顔。
何度見ただろう。
悲しみは消えない。
けれど、今までのように沸きあがってくるどうしようもない想いではない。
心は静かに凪いでいる。
目を閉じると、父の最期の言葉が蘇る。
《愛しているよ美南都…》
もう一度会えたら…。
もう一度生きられたら…。
絶対言おうと思っていた言葉。
「好きよ。
愛してるわ」
「っ……!!」
秦は、虚を突かれたように身体を揺らす。
顔を真っ赤にしてこちらを見る。
その顔がおかしくて、おもしろくて、また笑ってしまいそうになる。
「そういえば言ってなかったなって思って」
「っそっ……ありがとう…」
少し下を向く。
その姿が可愛くて…。
愛しくて…。
そっと手を伸ばし、顔を上げてこちらに向ける。
自然に零れた笑みを向けると、微笑みが返ってきた。
「じゃあ、また後でね」
「ああ」
軽く手を振って持ち場へと向かう。
悲しみで満ちていた心が、少し軽くなる。
全ての仕事を終えると、最期の別れの為の列に着いた。
家族達が別れを惜しみながら棺の蓋を閉じていく。
永久先生は、父の棺の横に座り込んでいる。
静かに涙を流しながら、悲しみを噛み締めている。
少し離れた場所には先生を見守る祖父母の姿があった。
そっと棺に近づく。
父の顔を覗き込んで膝をつく。
「とうさま……」
父の死に顔。
何度見ただろう。
悲しみは消えない。
けれど、今までのように沸きあがってくるどうしようもない想いではない。
心は静かに凪いでいる。
目を閉じると、父の最期の言葉が蘇る。
《愛しているよ美南都…》