調導師 ~眠りし龍の嘆き~
‡〜明日へと〜‡

「ふふ。
それじゃあ、明日携帯買いにいこうね」
「……ん……」

小さく返事をする秦を可愛いと思う。
そして、何よりも愛しいと思う。

「今日はデートでしょ?
楽しく行こうよっ」
「…とうさんが居る時点で違うだろ…」
「じゃあ、家族サービス?」
「そうだな。
私も娘ができて嬉しい」
「っ……」

朱を帯びる秦の頬を見て、私もお父さんも微笑む。
秦をからかうのは、存外楽しい。

「じゃあ、行こうか」

秦とお父さんの手を取って歩き出す。

「秦。
はっきりしないと、私が美南都を嫁に貰うぞ」
「なっ…駄目だっ」
「美南都。
これに飽きたら言いなさい。
デートはまず、日本中のテーマパーク巡りから始めよう」
「うわっ。
素敵ですねっ」
「美南都っ!!」
「「冗談だ」よ」
「っ……」

とっても幸せな時間。
これからもきっと、ずっと続く幸福。
力は、この先の人生、どうなっていくか分からない。
けれど、この幸せがずっと続くように祈って…。



愛している…。

力を受け継いだ事に悔いはない。

だから、とうさま…。

いつまでもこの幸せが続くように……。



これからもずっと

見守っていてくださいね……。




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