調導師 ~眠りし龍の嘆き~
いっそ全てを白紙に。

そしてふと思う。

いつから自分は、こんな物騒な事を考えるようになったのだろう。

昔から激情型ではあったが、ここまでではなかったはずだ。

「…物騒だな…」

次は、ここから出て、妻と息子を助けなくては。

大丈夫だ。

まだ心は生きている。

進まなくては。

確実に。



数日が過ぎた。

未だ、なんの音沙汰もない。

結局、事故として処理されたと、慎太郎から報告を受けた。



カチャカチャっ。



「っシン……」

慎太郎かと思った。

現れたのは、ここに放り込んでくれた男達。

「出ろ」







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