After school【BL/mw】
After school
高校の入学式から早3ヶ月。
夏休み目前のその日。
茹だるような暑さと、虫の鳴く声。
肌を撫でる生暖かい風と、こめかみを流れ落ちて行く汗。
そして、口の中に広がる鉄の味。
日が暮れて街灯がぼんやりと輝き出した頃。
渋々家路に着くこども達の声をなんとなく聞きながら、俺は両脚を投げ出して、公園のベンチに凭れ掛かっていた。
薄っすらと輝き出した星を何と無く見ていたけど、ふと、隣に座る彼が気になって声を掛けてみた。
「──ヒサギちゃん」
俺の呼び掛けに対する返事は無かったけど、ザッ、と砂を蹴る音が聞こえた。
それが返事なんだと勝手に解釈して、あのさ、と話し始めた。
< 1 / 13 >