After school【BL/mw】
「今、何て言った?」
「あ?」
火花が飛びそうな睨み合い。
綺麗な顔をしているだけあってか、怒ったヒサギちゃんの目ヂカラと言ったら……!
それでも、相手は完全にヒサギちゃんの事をナメ切っている様だ。
幾らか背の低いヒサギちゃんを見下す様な顔付きでそいつは意地悪くニヤと笑って、胸倉を掴むヒサギちゃんの手首を掴んだ。
「見え透いたウソ吐くんじゃねぇよ。お前、ケンカなんて出来んのか? 女みてぇに細ぇ腕し……ッ!」
ヒサギちゃんの目が一際鋭くなったかと思うと、掴まれた腕を思いっきり引いて、相手に頭突きをかましていた……。
そして、よろけた相手の顔へと続け様に右ストレート。
間髪いれず腹部に容赦の無い蹴り。
完全に油断していたのか、床に倒れたヤツは起き上がることが出来ない。
「……ヒサギちゃん? 何やってんのさ」
思わずそう声を掛けたものの、俺の声は誰の耳にも届いていない。
この場にいる全員が、空気すら固まって、瞬間的に時が止まった様にも思えた。