After school【BL/mw】
「──マジうぜぇ……」
吐き捨てる様なヒサギちゃんの一言を合図にする様に、不良連中は敵討ちとばかりにヒサギちゃん……だけじゃなく俺にまで襲い掛かって来た。
正直、俺は喧嘩なんて無縁の生活だったので今の状況に頭が着いていかない。
それでも、殴られれば痛い訳で。
俺自身、自分の中に闘争心みたいなものがあるとは思っていなかっただけに、反射的に相手を殴り飛ばしてしまった事にびっくりして、暫く自分の手を見つめたまま動けなかった。
「──警察を呼ぶぞ!」
不意にそう、声が響いた。
冴えない大学生っぽい店員の男が、その身をカウンターに隠しながら青ざめた表情でこちらを見ている。
今の状態も充分面倒だけど、更に面倒なことになったら大変だ。
「ヒサギちゃん!」
いつの間に殴られたのか、ヒサギちゃんの頬が蒼く腫れて口元には血が滲んでいる。
無理矢理腕を引くと思っていたほど抵抗されなかったので、俺はそのままヒサギちゃんを引っ張ってゲーセンから出て行った。
一番最初に話し掛けて来たヤツの視線が痛かったけど、それには気付かないフリをして。