After school【BL/mw】
 
 ──そして、俺とヒサギちゃんはお互い無言のまま、公園のベンチに居座り続けていた。

 聞きたいこと、言いたいことが沢山あるのに、纏まらない。

 もやもやした気持ちを抱えながらも時間だけは過ぎて行く訳で。

 ベンチから立つタイミングも掴めないまま、無言でヒサギちゃんに帰られてしまうのも嫌だし、帰ろうとそれだけ口にするのも気が引けて……。

 薄暗くても、ヒサギちゃんの頬の痣は分かる。

 時間が経った事で、より濃く目立つようになってしまった。

 せっかくのキレイな顔が……なんて、口が裂けても言えないけど。


「……ヒサギちゃんて、売られたケンカは買うタイプだよね」


 結局俺の口からは、当たり障りなくも無いけどお小言じみた言葉が出て行ってしまった。


「……だったら何だよ」


 ばつが悪い表情で、ヒサギちゃんはまた地面の砂を蹴った。

 ザリ、という小さな音が不規則に響いて、逆にそれが耳に残る。
 
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