笑顔が見たいから
春、桜が舞う今日この良き日。
私、「岩崎 風奏(いわさき ふうか)」は高校生になりました。


「風奏ー?新しい制服はどうなの?」
部屋で着替えているとお母さんはノックもせずに入ってくる。
「わ⁉お母さん、びっくりした!!ノックぐらいしてよっ!」
そんな私の言葉を無視して、お母さんは笑顔をみせる。
「あら!可愛いじゃない!似合ってるわよ。ずいぶん賢そうにみえるわね?」
お母さんが少し意地悪っぽく言うから私も口をとんがらせる。
「この学校の制服は賢そうだけど実際頭のほうはそこまで賢くなくてごめんなさいねー。3年間大切に着させていただきますよーだっ!」
グレーのブレザーを身にまとい鏡の前で何度も身だしなみを整える。
「…もう風奏も高校生なのかぁ。お母さんあんまり実感してないみたい。…風奏が高校生になったってことは、悠記君はもう高校2年生?元気なのかしらぁ…。会いたいわね?」
ニコニコしながら部屋を出て行くお母さんの背中を見つめながら私は悠記という名前に少し懐かしくなった。



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