私の彼氏は親友とデキていました


「こちら青柳病院の者ですが
上城様の体調が急に悪化しまして、
すぐに来ていただきたいのですが」





返事をせずに受話器を置いた。




急いで玄関に行き、まともに靴を履かないまま外に出た。




雪が降っていて、ワイシャツ一枚だけしか着てなくて凍りつくような寒さだった。




でも、そんなの気にしてる余裕はなくて走り続けた。



走りながら震える手で、スボンのポケットから携帯を出し父さんに電話をかけた。




数回のコールで携帯の向こうから
父さんの声が聞こえた。





「母さんの体調が悪化したらしい!
すぐ病院に来てくれ」




それだけ言って、電話を切り
病院に向かって走り続けた。


一心不乱だった。



過ぎ去る人も、舞い落ちる雪も、
全てが見えなくなって、ただひたすらに白い道を走り続けた。




病院について、受付の人に荒げた声で今の母さんの居場所を尋ねた。



手術室にいる、そう聞いた瞬間
目の前が真っ暗になった。






何度も心の中で唱えた。



大丈夫。大丈夫。



母さんは絶対、戻ってくる。


そして、また笑顔を見せてくれる。

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