私んちの婚約者
「まったく、愁也さんが帰ってきたなら来たとメールでもしなさいよね~」
マキがニヤニヤ笑いのまま言う。
「ごめん。今朝急だったから……」
謝る私の手を、マキはビックリしたように見た。
「おお~、ちょっとその指輪を見せて下さ~い」
記者会見風?
つい私も指を揃えて手をあげてしまう。
その左薬指には、無事に愁也からもぎとった、きらめく指輪がはまっていた。
「さすが愁也さん。外さないわねぇ」
マキが感心したように言って、微笑んだ。
何だか気恥ずかしくて、私は視線を泳がせたまま、講堂の扉を開ける。
特別講義は人気が高い。学内誰でも参加可能だから、他の学部の生徒も沢山いて、知らない顔だらけ。私とマキ、水樹君はまだ何とか空いていた前の方に座る。
「え~と、今日の講師は……」
配られたプリントをよくよく見たら。
『KAI~新進気鋭のカメラマンによる戦場体験談』
へぇ~戦場カメラマンか。どっかで聞いた肩書きだな。
ん?
んんん!?
「もしかしてこれって……っ」
その瞬間、講堂に叫び声が響き渡った――!
「きゃああああっ!!」
隣のマキまで目を見開いて叫んでる。
「甲斐様あっ!!!」
女子達の歓声を浴びて、現れたのはやっぱり
「カイ兄!?」
あの野獣だ。
なんでカイ兄!?
てか甲斐『様』呼ばわり!?
カイ兄どうして車で来た私より先に着いてるの!?
もう突っ込み所満載で、何から突っ込んでいいのかわからない!!!
「どーゆーことよ、梓!」
マキが私に掴みかかる。
「知らないよぉ!」
マキがニヤニヤ笑いのまま言う。
「ごめん。今朝急だったから……」
謝る私の手を、マキはビックリしたように見た。
「おお~、ちょっとその指輪を見せて下さ~い」
記者会見風?
つい私も指を揃えて手をあげてしまう。
その左薬指には、無事に愁也からもぎとった、きらめく指輪がはまっていた。
「さすが愁也さん。外さないわねぇ」
マキが感心したように言って、微笑んだ。
何だか気恥ずかしくて、私は視線を泳がせたまま、講堂の扉を開ける。
特別講義は人気が高い。学内誰でも参加可能だから、他の学部の生徒も沢山いて、知らない顔だらけ。私とマキ、水樹君はまだ何とか空いていた前の方に座る。
「え~と、今日の講師は……」
配られたプリントをよくよく見たら。
『KAI~新進気鋭のカメラマンによる戦場体験談』
へぇ~戦場カメラマンか。どっかで聞いた肩書きだな。
ん?
んんん!?
「もしかしてこれって……っ」
その瞬間、講堂に叫び声が響き渡った――!
「きゃああああっ!!」
隣のマキまで目を見開いて叫んでる。
「甲斐様あっ!!!」
女子達の歓声を浴びて、現れたのはやっぱり
「カイ兄!?」
あの野獣だ。
なんでカイ兄!?
てか甲斐『様』呼ばわり!?
カイ兄どうして車で来た私より先に着いてるの!?
もう突っ込み所満載で、何から突っ込んでいいのかわからない!!!
「どーゆーことよ、梓!」
マキが私に掴みかかる。
「知らないよぉ!」