私んちの婚約者
***
学外のタクシー乗り場までカイ兄を見送った後の私は、一度中に戻ろうとした。
とりあえずマキをなだめて、愁也に電話しよう。
今日の夕飯は何がいいかなあっ!
愁也との時間を思えば気持ちが浮上する。
スキップしかけた私の後ろから、誰かが声を掛けてきた。
「高宮梓さん?」
「はぁい?」
返事をしながら振り返った私の口に、押し当てられた――白い布。
「ふごっ!!」
何!?
思い切り吸い込んだ鼻に、何か薬品の匂いがする。
え?
「ん―――っ!!?」
なに、なにこれ!!
パニックになると共に、気が遠くなる。
あう、……。
「ゅう、や……」
急激に薄れていく意識の中で、私は愁也を呼んでいた……。
学外のタクシー乗り場までカイ兄を見送った後の私は、一度中に戻ろうとした。
とりあえずマキをなだめて、愁也に電話しよう。
今日の夕飯は何がいいかなあっ!
愁也との時間を思えば気持ちが浮上する。
スキップしかけた私の後ろから、誰かが声を掛けてきた。
「高宮梓さん?」
「はぁい?」
返事をしながら振り返った私の口に、押し当てられた――白い布。
「ふごっ!!」
何!?
思い切り吸い込んだ鼻に、何か薬品の匂いがする。
え?
「ん―――っ!!?」
なに、なにこれ!!
パニックになると共に、気が遠くなる。
あう、……。
「ゅう、や……」
急激に薄れていく意識の中で、私は愁也を呼んでいた……。