私んちの婚約者
「なる程、情熱的な婚約者だ」
彼は自分の口元に滲んだ血を拭って、皮肉気に笑う。
この、この、愁也もどき……っ!!
私は怒りの余りブルブルと震えていた。
「ふざけんなあああっ!嫁入り前の乙女に何してくれてんだ!!透也、そこの花瓶よこせ!!」
透也は青い顔で押し黙ったまま動かない。
こら!早くよこせ、この阿呆を三秒で地獄へ直行させてやるんだからっ!!
その高級そうな花瓶なら、さぞ良い夢見せてやれるに違いない!
私の危険値が急上昇していることなんて気にもせず、蓮也は透也を見た。
「ふ、なんて顔してる。羨ましければお前がやればいい。俺は愁也が苦しめばどちらでも良いんだからな」
そりゃ完全悪役のセリフだ……!
「ーーっ、そんな、俺は」
透也は何が意外だったのか、目を見開いてまじまじと兄を見つめ、私はひたすら彼を睨みつけていて。
私達の様子なんて全く構わず、蓮也はふっ、と冷たく笑った。
「愁也は必死で君を探しているよ。そろそろ君がこちらに居ることを教えてあげようかな」
「……っ」
愁也。
彼の名を出されて、私は不覚にも黙ってしまった。
「では高宮梓さん、ごゆっくり」
ゆったりと、部屋を出て行く、極悪長男。
残された私と。
茫然と立つ透也。
これからどうなるの……?
彼は自分の口元に滲んだ血を拭って、皮肉気に笑う。
この、この、愁也もどき……っ!!
私は怒りの余りブルブルと震えていた。
「ふざけんなあああっ!嫁入り前の乙女に何してくれてんだ!!透也、そこの花瓶よこせ!!」
透也は青い顔で押し黙ったまま動かない。
こら!早くよこせ、この阿呆を三秒で地獄へ直行させてやるんだからっ!!
その高級そうな花瓶なら、さぞ良い夢見せてやれるに違いない!
私の危険値が急上昇していることなんて気にもせず、蓮也は透也を見た。
「ふ、なんて顔してる。羨ましければお前がやればいい。俺は愁也が苦しめばどちらでも良いんだからな」
そりゃ完全悪役のセリフだ……!
「ーーっ、そんな、俺は」
透也は何が意外だったのか、目を見開いてまじまじと兄を見つめ、私はひたすら彼を睨みつけていて。
私達の様子なんて全く構わず、蓮也はふっ、と冷たく笑った。
「愁也は必死で君を探しているよ。そろそろ君がこちらに居ることを教えてあげようかな」
「……っ」
愁也。
彼の名を出されて、私は不覚にも黙ってしまった。
「では高宮梓さん、ごゆっくり」
ゆったりと、部屋を出て行く、極悪長男。
残された私と。
茫然と立つ透也。
これからどうなるの……?