私んちの婚約者
side梓
「ねぇ、いつまでそこに居るの?」
私は黙り込んだままの透也に話し掛けた。
蓮也が出て行ってから、彼は同じ場所で立ち尽くしたまま。
「おとなしすぎて気味が悪いよ、透也」
透也はハッと私を見た。
「し、失礼な女だな!本当に……!」
だけどすぐに俯いてしまう。
なんなのよ、もう。
愁也の顔してるくせに、グチグチと。
「それ、言いがかりだろう……」
「あら、聞こえてた?ごめんねぇー」
だんだん面倒臭くなってきた私。
だって愁也と同じ年の異母弟ってことは、私より5歳上だよ?放っといて良いよね、いい大人なんだから。
それよりテーブルにあるあの美味しそうなクッキー食べて良いのかな。
なんて考えていたなら。
しばらくして、彼は何か思い詰めたように私の前までスタスタ歩いてきて。
私の頬に手を当てた。
唇を、指でなぞる。
「透也、セクハラだよ。……殴るよ?」
「兄さんには、キスさせたくせに」
ボソッと呟く彼。
はあ!?
「させた、じゃなくて無理矢理された、でしょ。どこに目ぇつけてんのよ!」
ブラコンという名の変態フィルターを解除しろ!今すぐに!!
「だあいすきでなーんも逆らえないお兄様に、キスされてごめんねぇ!?出来れば私も記憶を消し去りたいわあ!」
私の怒りなんて聞こえないのか、透也は切なげに私を見る。
「違う……」
な、なんでしょうか、この妙な雰囲気は。
なんか凄く悪いことしたような気分にさせられるんですけど!
誘拐されたの私なのに!
ずるい、愁也の顔してるからって!
「愁也、愁也って、……うるさい」
透也の顔が私に近づく。
え?何これ。
「ねぇ、いつまでそこに居るの?」
私は黙り込んだままの透也に話し掛けた。
蓮也が出て行ってから、彼は同じ場所で立ち尽くしたまま。
「おとなしすぎて気味が悪いよ、透也」
透也はハッと私を見た。
「し、失礼な女だな!本当に……!」
だけどすぐに俯いてしまう。
なんなのよ、もう。
愁也の顔してるくせに、グチグチと。
「それ、言いがかりだろう……」
「あら、聞こえてた?ごめんねぇー」
だんだん面倒臭くなってきた私。
だって愁也と同じ年の異母弟ってことは、私より5歳上だよ?放っといて良いよね、いい大人なんだから。
それよりテーブルにあるあの美味しそうなクッキー食べて良いのかな。
なんて考えていたなら。
しばらくして、彼は何か思い詰めたように私の前までスタスタ歩いてきて。
私の頬に手を当てた。
唇を、指でなぞる。
「透也、セクハラだよ。……殴るよ?」
「兄さんには、キスさせたくせに」
ボソッと呟く彼。
はあ!?
「させた、じゃなくて無理矢理された、でしょ。どこに目ぇつけてんのよ!」
ブラコンという名の変態フィルターを解除しろ!今すぐに!!
「だあいすきでなーんも逆らえないお兄様に、キスされてごめんねぇ!?出来れば私も記憶を消し去りたいわあ!」
私の怒りなんて聞こえないのか、透也は切なげに私を見る。
「違う……」
な、なんでしょうか、この妙な雰囲気は。
なんか凄く悪いことしたような気分にさせられるんですけど!
誘拐されたの私なのに!
ずるい、愁也の顔してるからって!
「愁也、愁也って、……うるさい」
透也の顔が私に近づく。
え?何これ。