私んちの婚約者
失恋、婚約者
***
……あれ?真っ暗だ。
頭が痛い。
目もヒリヒリする。
喉はやけついて。
身体中が重い。
「梓」
私を呼ぶ声がする。
だけど愛しいあの人の声じゃない。
「梓、なんか食えよ。お前、丸2日何も……」
心配そうに言う声。透也だ。
私はゆっくり、目を開けた。
*
「梓、お前帰らないのか?」
透也が私の顔色を伺いながら、恐る恐る言う。
「もう用はないから帰していいって、蓮也兄さんが」
「うるさいな。ロイヤルスイートに三日閉じ込めるなら、一年居たっていいでしょ」
「そんなに居るつもりか!?」
透也が悲鳴のような声を上げた。
なんだその反応。失礼な。
「金持ちのくせにケチケチすんな」
私はあのでっかいベッドに横たわったまま、透也相手にやさぐれていた。
あの後。
愁也が私に別れを告げて。
視線を合わせることも、私に触れることもなく、蓮也と部屋を出て行った。
私は丸2日、透也が呼び掛けても虚ろだったという。
自分では全然覚えてない。
気が付いたらとにかく透也がいて、私は彼の持っていた食事のトレイを取り上げて、貪るようにたいらげた。
「さすがロイヤルスイート。ルームサービスも絶品だわ~」
と言ったところで、透也が得体の知れない生き物を見るような目で、私を見ていた。
で、先程の『帰らないのか?(むしろ帰って下さい)』になったわけで。
人質としての私の役目はもう終わり。帰れと言われているのも分かってる。
けど、ここから出たら?
二度と愁也との接点は無くなる。
今にも、『ごめん、嘘だよ』って、彼が戻ってくるんじゃないかって。
そう思ってしまう。
……あれ?真っ暗だ。
頭が痛い。
目もヒリヒリする。
喉はやけついて。
身体中が重い。
「梓」
私を呼ぶ声がする。
だけど愛しいあの人の声じゃない。
「梓、なんか食えよ。お前、丸2日何も……」
心配そうに言う声。透也だ。
私はゆっくり、目を開けた。
*
「梓、お前帰らないのか?」
透也が私の顔色を伺いながら、恐る恐る言う。
「もう用はないから帰していいって、蓮也兄さんが」
「うるさいな。ロイヤルスイートに三日閉じ込めるなら、一年居たっていいでしょ」
「そんなに居るつもりか!?」
透也が悲鳴のような声を上げた。
なんだその反応。失礼な。
「金持ちのくせにケチケチすんな」
私はあのでっかいベッドに横たわったまま、透也相手にやさぐれていた。
あの後。
愁也が私に別れを告げて。
視線を合わせることも、私に触れることもなく、蓮也と部屋を出て行った。
私は丸2日、透也が呼び掛けても虚ろだったという。
自分では全然覚えてない。
気が付いたらとにかく透也がいて、私は彼の持っていた食事のトレイを取り上げて、貪るようにたいらげた。
「さすがロイヤルスイート。ルームサービスも絶品だわ~」
と言ったところで、透也が得体の知れない生き物を見るような目で、私を見ていた。
で、先程の『帰らないのか?(むしろ帰って下さい)』になったわけで。
人質としての私の役目はもう終わり。帰れと言われているのも分かってる。
けど、ここから出たら?
二度と愁也との接点は無くなる。
今にも、『ごめん、嘘だよ』って、彼が戻ってくるんじゃないかって。
そう思ってしまう。