私んちの婚約者
作戦、婚約者
**
“着信 マキ”
ピッ。
「はいは~い、梓です。ただいま誘拐されておりますので、ご用の方はメッセージをどうぞ」
『誘拐犯に、大事な合コンがあるから、今週末までに帰して下さいってお願いしなさい』
ムチャクチャ言うなあ、マキってば。
「むしろ今誘拐されてるのは俺の方だけど」
透也が背後で呟いた。うるさいな。
「ただいま梓は“愁也奪回大作戦”の本部にて捜査会議中でぇす。マキさんに捜査協力を求めます」
「出張してやったわよ」
マキの声が携帯と扉の外と、両方から聞こえた。私は扉へ呼びかける。
「“山”!」
「ビッグサンダーマウンテン」
マキが応えた。
「そこは“川”じゃないのかよ」
透也がぼそりと呟いた。
私達は構わず言い合う。
「夢の国?」
「年間パスポート」
「合い言葉じゃなくて、ただの連想ゲームになってないか」
透也がさっさと扉を開けた。
そこには腕組みして悠然と立つ、私の親友。
「来たわよ、梓」
マキちゃああんっ!!
マキはつかつかと部屋に入ると、透也の顔を見て呟いた。
「うわ、ほんとそっくり。きもちわるっ」
「……お前は友達まで失礼だな」
透也がげんなりと私に言った。
「まあまあ、落ち込まないで。こう見えてマキちゃんは、ドSなだけだから」
「見たままだけどな?」
私達のやりとりを見ていたマキは、溜め息をつく。
「全く、しばらく大学を休んでたと思ったら、こんなのに引っかかってたの」
「こんなの……」
泣くな、透也。
“着信 マキ”
ピッ。
「はいは~い、梓です。ただいま誘拐されておりますので、ご用の方はメッセージをどうぞ」
『誘拐犯に、大事な合コンがあるから、今週末までに帰して下さいってお願いしなさい』
ムチャクチャ言うなあ、マキってば。
「むしろ今誘拐されてるのは俺の方だけど」
透也が背後で呟いた。うるさいな。
「ただいま梓は“愁也奪回大作戦”の本部にて捜査会議中でぇす。マキさんに捜査協力を求めます」
「出張してやったわよ」
マキの声が携帯と扉の外と、両方から聞こえた。私は扉へ呼びかける。
「“山”!」
「ビッグサンダーマウンテン」
マキが応えた。
「そこは“川”じゃないのかよ」
透也がぼそりと呟いた。
私達は構わず言い合う。
「夢の国?」
「年間パスポート」
「合い言葉じゃなくて、ただの連想ゲームになってないか」
透也がさっさと扉を開けた。
そこには腕組みして悠然と立つ、私の親友。
「来たわよ、梓」
マキちゃああんっ!!
マキはつかつかと部屋に入ると、透也の顔を見て呟いた。
「うわ、ほんとそっくり。きもちわるっ」
「……お前は友達まで失礼だな」
透也がげんなりと私に言った。
「まあまあ、落ち込まないで。こう見えてマキちゃんは、ドSなだけだから」
「見たままだけどな?」
私達のやりとりを見ていたマキは、溜め息をつく。
「全く、しばらく大学を休んでたと思ったら、こんなのに引っかかってたの」
「こんなの……」
泣くな、透也。