私んちの婚約者
どこまでも甘い言葉を零されて。
ずうっと私を見つめるその瞳が嬉しくて。
ついつい意地悪、したくなって。

熱に浮かされてふわふわした意識で、私はふ、と笑ってみせる。

「……ここで、“ピンポーン”に三千円」

散々このタイミングで邪魔が入ったことを思い出して言ってみれば、愁也はいっそう魅惑的に微笑んだ。


「誰が来ても、今は行かせない。

だから賭けは不成立」


……そ、そうくるかあ。



寄り添って、

熱を与えあって、

溶け合って、

愛を囁いて、

微笑んで、

涙を零して、


何度も名前を呼んだ。

何度も名前を呼ばれた。



ーーそうして私達は、

お互いを取り戻した。
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