私んちの婚約者
次の日、帰宅すると透也がひとりでリビングのソファに座っていた。
何か雑誌をペラペラとめくっている。
「ただいまー。愁也は?」
「まだ……」
透也は手元から目を離さない。
それが気になりながらも、私はバッグを下ろして彼に話しかける。
「あ、そーだ、透也。あんたの書いたレポート、教授に褒められたよ」
今日返却されたレポートにはAAAが付いていて、単位どころか“優”を貰えそうな評価だった。
「ありがと、ね?」
彼の前に回り込んでお礼を言えば、透也はやっと私を見上げた。
その表情がどこか強ばっていて、なんだか妙な緊張感が漂う。
「お前先生になりたいんだよな?愁也とイタリア行ったらなれないんじゃないの?」
「は?イタリアにも子供は居るよ?」
私の答えに、透也が皮肉気に笑った。
「お前らしいよな。……一瞬も揺らがないのかよ」
え?
ふと、彼が見ていたのが、あの結婚情報誌だと気付く。
なんか、変。
なんでーーそんな、怒ったような、泣きそうな顔をして、私を見てるの?
「透也……?」
その声が引き金になったかのように、急に透也に手首を掴まれて、私の身体が引き寄せられた――。
何か雑誌をペラペラとめくっている。
「ただいまー。愁也は?」
「まだ……」
透也は手元から目を離さない。
それが気になりながらも、私はバッグを下ろして彼に話しかける。
「あ、そーだ、透也。あんたの書いたレポート、教授に褒められたよ」
今日返却されたレポートにはAAAが付いていて、単位どころか“優”を貰えそうな評価だった。
「ありがと、ね?」
彼の前に回り込んでお礼を言えば、透也はやっと私を見上げた。
その表情がどこか強ばっていて、なんだか妙な緊張感が漂う。
「お前先生になりたいんだよな?愁也とイタリア行ったらなれないんじゃないの?」
「は?イタリアにも子供は居るよ?」
私の答えに、透也が皮肉気に笑った。
「お前らしいよな。……一瞬も揺らがないのかよ」
え?
ふと、彼が見ていたのが、あの結婚情報誌だと気付く。
なんか、変。
なんでーーそんな、怒ったような、泣きそうな顔をして、私を見てるの?
「透也……?」
その声が引き金になったかのように、急に透也に手首を掴まれて、私の身体が引き寄せられた――。