私んちの婚約者
「ごめん、透也。
私は愁也のことが好き。
愁也と結婚するよ。
でも、ありがとう。
嬉しかった」
私の答えに、透也は微笑んだ。
愁也とは似ても似つかない、彼だけの表情で。
*
「もういい?」
背後から声がして、振り返れば愁也が腕組みをして、透也を睨んでいた。
ズサッと後ずさる透也。
これこれ、この反応だよね~。
「梓も大概ドSだよな」
ニヤニヤする私を見て言われた、愁也の言葉。
いやいや、あなたのが伝染ったんだと思いますよ!?
「ったく、お前には借りがあるからな。殴り足りないけど、今回は勘弁してやる」
愁也が透也に向かって言った。
あれで足りないのか。
ブラック愁也様恐ろしいな~。
「梓、ほんとにコイツがいいのか?」
透也が引きつった顔で聞いてくる。
「うん、多分。おそらく。もしかしたら。そんなような気がしなくもない」
「……梓ちゃん?」