私んちの婚約者
蓮也は、自分が乗ってきたらしい運転手付きの車を顎で示して。
「……帰るぞ、透也」
透也は頷いて、私と愁也を見た。
「じゃあな、愁也。……ありがとな、梓」
ちょっとだけ、切なく笑う彼。
「ばいばい、透也」
「愁也に飽きたら俺のとこに来いよ、痛っ!」
あ、愁也に足踏まれた。更にグリグリされた。
彼は痛む足を押さえながら、大人しく車に乗った。
閉じられた窓の向こうで、二人が何か会話しているのが見えてーー透也の表情が意外にも柔らかかったことに安堵した。
二人を見送って。
「蓮也って、ほんとは透也のこと好きだよね?」
ポツリと呟く私。
愁也はただ静かに言う。
「あいつは俺や蓮也とは違うから……羨ましいのかもな」
それは、愁也も?
その少し、沈んだ声に、私は愁也の腕にしがみつく。
「私は愁也がいいよ」
いつも俺様でも。たまにブラックでも。
私が好きなのはあなただけ。
「……梓、今すぐ家に入れ」
ぼそりと呟いた愁也の、穏やかでない視線にたじろぐ。
は?
「さんっざん我慢させやがって、もー限界。今夜は寝かせないからな?」
「ぎゃあああ!」
悲鳴ごと私を担いで。
愁也はそれはそれは魅惑的に微笑んだ――。
「……帰るぞ、透也」
透也は頷いて、私と愁也を見た。
「じゃあな、愁也。……ありがとな、梓」
ちょっとだけ、切なく笑う彼。
「ばいばい、透也」
「愁也に飽きたら俺のとこに来いよ、痛っ!」
あ、愁也に足踏まれた。更にグリグリされた。
彼は痛む足を押さえながら、大人しく車に乗った。
閉じられた窓の向こうで、二人が何か会話しているのが見えてーー透也の表情が意外にも柔らかかったことに安堵した。
二人を見送って。
「蓮也って、ほんとは透也のこと好きだよね?」
ポツリと呟く私。
愁也はただ静かに言う。
「あいつは俺や蓮也とは違うから……羨ましいのかもな」
それは、愁也も?
その少し、沈んだ声に、私は愁也の腕にしがみつく。
「私は愁也がいいよ」
いつも俺様でも。たまにブラックでも。
私が好きなのはあなただけ。
「……梓、今すぐ家に入れ」
ぼそりと呟いた愁也の、穏やかでない視線にたじろぐ。
は?
「さんっざん我慢させやがって、もー限界。今夜は寝かせないからな?」
「ぎゃあああ!」
悲鳴ごと私を担いで。
愁也はそれはそれは魅惑的に微笑んだ――。