私んちの婚約者
*
「ここかぁ」
マリアに描いてもらった地図を見て、私は父と愁也の仕事場に来ていた。
白い壁の真新しいビル。父の支社。
親睦会をしたレストランから本当にすぐ近くだった。
とにかく謝っちゃおう。
それで事情を聞けばいい。
いつまでもぐるぐるしてたら、本気で溶けるしね!
思い切ってビルに入って。廊下を進み、オフィスを覗き込めば、デスクでパソコンに向かう愁也が見えた。
私に気付いた男性スタッフが愁也に呼びかけて、こちらを指し示してくれる。
「梓……」
私を見て、驚いたようにこちらへ向かってくる愁也。
会社まで尋ねてくるとは思わなかったみたい。
「どうかしたの?」
だけどこころなしか、まだ彼の表情が固い。
お、怒ってる、よねぇ。
「うん……」
よおっし、一気にいくぞ!
「愁也っ、あのねっ」
「あっれぇ、アズサ!僕とのデート、行く気になってくれたんだ?」
タイミング悪く割り込んだ、レオのムカつく程、底無しに明るい声。
あんたはまた仕事をしとらんのか!!この給料泥棒め!
「ち、ちがっ!」
否定しようとしたけど、それより早くレオが私の肩を抱いた。
「さあ行こうか、ハニー」
こいつ、耳ついてんのか!?
「聞け!人の話を聞け!」
でなきゃ寝とけ!!!
振り上げた拳がレオの顎を直撃した。
ふ~っ、この大事な局面で、余計な力を使わせやがって!
「ここかぁ」
マリアに描いてもらった地図を見て、私は父と愁也の仕事場に来ていた。
白い壁の真新しいビル。父の支社。
親睦会をしたレストランから本当にすぐ近くだった。
とにかく謝っちゃおう。
それで事情を聞けばいい。
いつまでもぐるぐるしてたら、本気で溶けるしね!
思い切ってビルに入って。廊下を進み、オフィスを覗き込めば、デスクでパソコンに向かう愁也が見えた。
私に気付いた男性スタッフが愁也に呼びかけて、こちらを指し示してくれる。
「梓……」
私を見て、驚いたようにこちらへ向かってくる愁也。
会社まで尋ねてくるとは思わなかったみたい。
「どうかしたの?」
だけどこころなしか、まだ彼の表情が固い。
お、怒ってる、よねぇ。
「うん……」
よおっし、一気にいくぞ!
「愁也っ、あのねっ」
「あっれぇ、アズサ!僕とのデート、行く気になってくれたんだ?」
タイミング悪く割り込んだ、レオのムカつく程、底無しに明るい声。
あんたはまた仕事をしとらんのか!!この給料泥棒め!
「ち、ちがっ!」
否定しようとしたけど、それより早くレオが私の肩を抱いた。
「さあ行こうか、ハニー」
こいつ、耳ついてんのか!?
「聞け!人の話を聞け!」
でなきゃ寝とけ!!!
振り上げた拳がレオの顎を直撃した。
ふ~っ、この大事な局面で、余計な力を使わせやがって!