私んちの婚約者
うん、やっぱり、婚約だの、結婚だのはめんどくさい!
恋愛に振り回されるなんてみっともない。
いちいち一喜一憂するのも、恥ずかしい。


……けど。
……けど、さ。


愁也なら、
愁也となら、
いいと思ったの。

……思ったんだよ……


「……思ったのに……」


ぼたぼた溢れる涙は止まらない。


もう駄目なのかな。
小さな意地の積み重ねと、つまらないすれ違い。
一つズレただけで、元には戻らない。

私達も?


ーーそんなの、いやだよ。




「――梓っ……!!」




焦ったように私を呼ぶ、一番聞きたくて、一番聞きたくない声。

走り寄る足音。


後ろからあっという間に腕が伸びて、私の身体を抱き締めた。
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